芥川賞 グランド・フィナーレ

なむさんの日記で,芥川賞を取りおった某ごっちんヲタ系 DD の人の小説,読んでみてはと勧められたので早速購入して読んでみました.以前,朝日新聞だかのこの人のあやコン評を見ていて,いまいち共感出来なかったので,この人の著作は全然見てなかったんですが,どうも妙に評判がいいので気になってたところに,なむさんからのお話もあったので,思わず読んじゃいました(・∀・)

折角なのでちょっと思ったこととか感想とか書いてみます.専門家じゃないからすげーぶっ飛んだ勘違いしてるかも知れないけど。・゜・(ノ∀`)・゜・。

きっと,色んなテーマが詰まってるんだろうとは思うけど,一番大きなテーマとして示されてるのはやっぱロリコンについての話だと思います.

世の中のロリ人間に更正への道を示しているのか? 実際に犯罪を犯している,いないに関わらず,悔い改めなさいということを示唆しているのか? それとも,むしろダメ人間は改心出来ないだろpgl,と嘲笑っているのか? そんな単純な二極化では無く,炉になっちゃうのは仕方ないとして子供を大切にしろと伝えたいのか.

その述べたい内容というのは,あくまで読者が受け取る物語ごとに変わってきますね.非常に難しい手法とは思うけど,こうやって書けて,読者に色々想起させるってのはきっと著者としては面白いんだろうなぁ.釣られクマ━━━━ヽ(´(・)` )ノ━━━━!!!!

しかも,想起される様々な物語は,どれを取っても考えさせられます.読み手ごとに色々な問題提起をしたいけど,複数のシナリオを登場させると,どうにもとっ散らかってしまうから,読者それぞれに物語の流れとフィナーレを構築させる,仮想的なマルチエンディングを取ったのかもしれないですね.

そもそも彼は本当にロリコンなのか? 周りの人達からも色々助言は受けているとは言え,本当にロリコンなら気持ちを抑えることが出来るはずが無い気がします.きっと,芥川賞受賞を「ロリコンはこんなもんじゃない!」と頑なに拒否してた某有名作家な方はこの辺が気になったんだろうなぁ.

確かに,本当に彼が更正出来たのだとすると,本当の深い性癖というわけではなく,自分がロリコンであるという「自分のダメさ加減」を露呈し,ダメな自分に酔いしれている,という,むらいくんがかつて感じ,はてなで論じていた「ベリヲタ」像というのがまんま当てはまるのではないかと感じたりもします.

むらいくんが感じたような「ベリヲタ」という存在を日常的に見ているハロヲタの作者さんが,この主人公を通し,世の中にロリコンと思しき男性は増加してきてはいるけど,実は本物の真性ロリってのはそうそう居るわけでは無く,更正出来るライト変態ばっかりだから,世の中の女性の皆さんも安心してね,ということを,虚構ではあるにしろ,伝えようとしていたりということも考えられなくは無いですね.

でも,ベリヲタがみんなそんなダメな自分が大好きなわけでは無く,マジで子供が大好き(子供が好きなわけじゃなく,好きになったアイドルが偶然子供だった,という言い訳も含めて)な人もいる,というより現状では大多数がマジで子供好きなんじゃないか,ということを考えると,そんな安心出来るものじゃない気もします.そして作者さんもそれは分かってると思うし,ヘタしたら作者さんもマジでキッズヲ(ry

逆に,そういう真性ロリに対するメッセージだったと考えることも出来ますね.そもそも,物語の端々で見られる,思い込みが激しい人格を持つ彼のこと,一人称視点での小説であることを考えると,神町での出来事も,本来の世界から歪められている可能性があります.この小説では,第二部以降はこの主人公がそれ程にヤバいロリという感じは見受けられないんですが,第一部において,第三者の口(台詞)から表現される彼やその挙動と比較して,彼自身が表現するときのそれらは非常に曖昧でソフトなので,悔い改めようとしているように見える第二部でも,実は本人が脳内でソフトに描写しているだけで,他人から見るとどうしようも無い状況であることも考えられますもんね.

確かに,真性ロリならよくあることで,コイツはマジでヤバい,というヲタに限って「えー俺普通じゃん(・∀・)」とか言ってるけど,そういう人物に対して,お前ちゃんと自分がやってることの猟奇さ加減に気付いてんの? っていう問題提起なのかもしれないですね.作者への戒めも含めてw 俺への戒めも含めて_| ̄|○

話は変わりますが,このストーリーにおいて,常に主人公の傍にいる人形には,きっと色んな意味が込められてるんだろうけど,俺には,娘と同列とまではいかないけど,かなり擬人化してるフシが感じられます.逆に,子供たちを「女性」としてではなく「モノ」としてみているということも暗示しているのでは無かろうか,と勘繰ります.

それこそ,俺の 1/22 の日記(http://d.hatena.ne.jp/kng/20050122)じゃないけど,子供を一人の女性として見られないときの大きな問題点というのが示されているような感じも受けます.これは,作中でも友人が娘,そしてかつての小6の女の子も彼のことを恐れていただけだと表現しているところからも感じ取れます.

さて,読み手ごとに大きく異なってくるのはやっぱりエンディングですね.自殺した少女という例を突きつけられ,自分の犯した罪に気付き(気付いたつもりになっているだけかもしれないけど・・・),それを償う為,という名目も付けて二人の少女の為になることをやろうとしているが,この二人を通じて,一体彼はどう変化してゆくのでしょうか.大きく分けて,真っ当な人間に成長する,また元のようにダメ人間に落ちて逝き最低な人生を送る,この二つに収束するかと思います.細かい部分で色々感じ方もあると思いますが,基本的にこの二つの流れのどちらかですよね.

彼は自分の犯した罪について,そして自分の性癖について自覚をしているのでしょうか.友人たちからの助言(と言っていいものか分からないけど)によって,理解しようとしている姿勢は描写されているけど,それはあくまで一人称で表現されているもの.本当に自分の罪について理解出来ているのか? もしくは,気付いていない振りをしつつも,元々自覚症状はあったのか?

何となく,相当な犯罪を犯した,という意識がまだ浅い感じもします.彼が表現している世界での,彼への扱いも良好杉.これは,敢えて表現を避けている感じもするので,こういう勘繰りを読者にさせて,ミスリードさせよう,というか複数のフィナーレへ誘導させよう,という思いによるものかも知れないけど,本当に立ち直っていけるのかどうかは非常に疑問が残ります.

二人のょぅι゛ょへの扱いが,まるで娘へのそれようになってきてしまっているのが気になるところ,一体どう作用するのだろうか.同じ罪を犯すのか,それとも娘へも改めて親としての感情を出すことが出来るようになるのか・・・.

他にも,もう一度二度読んだら,また深い勘繰りしそうなところが残ってそうな気がするけど,俺にはテーマが重杉なのでもう読めない_| ̄|○

結論:キッズに怖がられないように気を付けようネ(・∀・)♪